昨日、友人のIちゃんの誕生日プレゼントを買いにMちゃんと出掛けました。
いつもよりも寒い上に雨降りという悪天候にも関わらず、ますます元気に育っているKくんを連れて私も一緒に面倒を見ながらも楽しくショッピングをして、お互い相談をして私達なりに彼女に一番相応しいと思う物を選んで無事買い物を終えました。
そしてその後、一休みしようという事である喫茶店に入りました。
そこで私達は「
チョコレートパフェ」を一緒に注文したのですが……
それがものすごくマズかったのです。
この一言だけで片付けてしまえば、よくある失敗談で終わってしまいます。
でも、それがどれ程に酷い物であったかをこれから綴りたいと思います。
まず先に断っておくと、私は今まで食べ物に関して堂々と酷評した経験はありません。
元々好き嫌いという物があまりない上、食通という程のこだわりもないので、大抵、人が「マズい」という物でも黙して食べることくらいはできます。
その私が、「
マズい」と断言して憚らないのはどれだけの物であったかを、想像した上でこの先の話を読み進めて下さい。
そのお店はMちゃんが割とよく来ている店で、Mちゃんはメニューについて私に特徴や自分のオススメ等を説明できるくらいは馴染みがありました。
だから、デザートメニューについて私が何を選ぼうか考えている時に
「
コーヒーゼリー…コーヒーゼリーにしようかな?どんなの?」
「あぁ、コーヒーゼリーは私にはマズかったな。K(旦那の名前)は食べられるけど、オススメはできない」
「そう、コーヒーゼリーは好きなんだけどね…」
友人がオススメをしない物をわざわざ選ぶような反骨精神があったわけでもないので、私より馴染みの相手がそう言うなら今回は別の物にしようと思いました。
そして、たまには女子らしく王道のスイーツを楽しんでもいいのではないかと思ってパフェを頼むことにしたのです。
「
チョコレートパフェ」「抹茶パフェ」
2つありましたが、私達は揃って「チョコレートパフェ」を注文をしました。
そこのお店はコーヒーのカップからして大きいのが特徴で、コーヒーも並々たっぷりならばデザートも大盛りのようで
届いたその「チョコレートパフェ」にコーン付きのアイスクリームが突き刺さっていたのを見た時には驚きました。
それだけなら別に問題はなかったのです。
それはただのジャンボパフェ等と称されるもので、ジャンボチョコレートパフェ、大いに結構じゃないかと女の別腹という物の見せどころとばかりに手を付け始めたのです。
でも、そこでMちゃんが気付いたのです。
「あ…っ、忘れてた。このパフェ、中に
コーヒーゼリーが入っていたんだ。いつもK(旦那)に食べてもらっていたんだ。」
そう言われてパフェの中層部を見たら確かにコーヒーゼリーらしき四角く切り取られた焦げ茶の物体が。
「えっ?あぁ、本当だ。マズいんだっけ?」
「あー、しまった。どうしよう。」
なんて言いながらもMちゃんは食べていて、
私は元よりコーヒーゼリーは好物であり、今まで食べたもので好みはあれどマズくてとても口にできない程のハズレの物には出会ったことがなかったので、それ程気に留めずに食べることにしたのです。
アイスクリームを味わい、同じ年頃の女ならではの悩みやこれからの人生の展望等について軽く笑い合いながら雑談し、楽しくお茶をして過ごしていたのですが、
私よりも早くにゼリーに到達していた相手は話に興じながらも文句を飛ばしていました。
「まず、この抹茶ゼリーからもうダメなんだよね」
「コーヒーは美味しいのに、どうしたらコーヒーゼリーがこんなにマズくなるんだか分かんない(笑)家で作った方がよっぽど美味いってどういう事?」
「何だかもう、食べてるだけで寒気がしてくるし……早く食べ切りたい」
と、ゼリーは散々扱き下ろされていたのですが、いずれも笑顔で語られ、しかもそう言う当人の口によってぱくぱく食べられているので、それは話を盛り上げる為に誇張して冗談混じりに言っているのだと私は思って
「そんなに酷いー?」
と、笑いながら付き合っていました。
もちろん、そんなわけないだろうと思っていたのです。
だから
「もし、本当に嫌で食べ切れなくて、私が大丈夫だったら食べるよ」
と、余裕をかました発言までしていたのです。
「零ちゃん食べるの遅いね。この抹茶のゼリーをまず食べてみなよ。」
私は話で度々手が止まっていたので進みが遅くて促されることになり、
彼女によって惨憺たる評価を受けたそのゼリーが果たしていかなる物か挑むことにしました。
平行四辺形に切り取られた緑色の欠片に何をそんな恐れるものがあるのかと彼女を大袈裟と思いつつ無造作にそれを口にしたのです。
そうしたら……
「………ん…、……
むぐっ!?」
「どうしたの?」
普通に噛み締めていて、突然異変を示した私を見て、Mちゃんが心配そうに訊ねてきました。
「……いや…、その…これ……何か、味変……?」
今、一瞬喉に詰まりそうになったというか……
吐き気を催した気がするような……。
「あのさ、Mちゃんがマズいって言うから私がそう思い込んでいるだけなのかも知れないけど…私、涙目になってない?」
「普通に涙目になるくらいマズいよ(笑)」
笑いながらあっさりと肯定するMちゃん。
でも、それはたった一口分の事だったので、自分でも何が何だか知覚できない内に終わりました。
きっとあんな事を言われたからたまたまちょっと詰まっただけ……
と思うことにして、やがて問題のコーヒーゼリー部分にまで到達しました。
抹茶ゼリーと同じ要領で切られて、見た目は今まで目にしてきた物と何ら変哲もないコーヒーゼリー。
私はやはり何の躊躇いもなく口にしました。
「………うん、食べられるよ?別に……」
「そう?でも、食べられるってくらい?」
「……んー……」
最初の何口かはただ咀嚼していただけなのですが、それを「コーヒーゼリー」として吟味しようとスプーンを進めていったのです。
別にそんなに酷いか…?でも、自分が今、本当に「コーヒーゼリー」を食べているのか?と、考え出すと……何とも言えない違和感を感じるのです。
「何だかさ……これって私の知っている『コーヒーゼリー』ってものじゃないような気がするんだけど…」
逆を言うと、これがもし生まれて初めて食べた「コーヒーゼリー」だとしたら、私はきっと今までの人生の中で食べてきたその他の「コーヒーゼリー」は別の食品だと思っていただろうと思われる食感なのです。
「そうでしょ!?目を瞑って味わってみたらさ、薬品みたいな味がしない?」
そう言われて実際に目を閉じたわけではないのですが、…そう、確かに何となく
薬臭いのです。
味わえば味わう程に、口中に薬品の臭いが充満していくような。
それでも、この手の物ってそう感じる人には薬っぽいなんて言われることは割とあるのでは……と、胸中で苦し紛れに取り繕い、食べ続けたのです。
…でも、違和感。
コーヒーの味が何処にある?
このゼラチンで固めたらしき感触のする物体は何だ?
回らない頭と舌を精一杯稼働させて分析を試みてみましたが、もう私の中では既にそれを「コーヒーゼリー」と受け入れている感覚がしませんでした。
なので、一度スプーンを置いて、コーヒーを飲むことにしました。
本物のコーヒーと味わい較べれば、どう違うかが分かると思ったのです。
そして、コロンビアを一口含んでコーヒーゼリーの味と融合した瞬間。
「……………ぅぐっ!!…っぐ…………がはげへごほっ!!!!」最初、Mちゃんは私がテーブルに突っ伏すようにして口元を押さえ付け、コーヒーが気管に入って窒息していた事に気付かずに息子をあやしていたのですが、やがて激しく噎せ出す私の急変に目を丸くして声を掛けてきました。
「ど、どうしたの!?大丈夫!?」
暫くは噎せていてまともに話せそうになかったのですが、それでも私は今感じた事を必死で伝えようとしました。
「………目から…鼻から…口から……げほげほげほっ!!……涙……じゃなくて……がはっ!」目や鼻や口から全てコーヒーが噴き出すかと思った、と言おうとしただけなのですが、
それすら伝えられずに実際それ何てホラー漫画?みたいな図にはなっていなくても、涙はぼろぼろで鼻にも口にもコーヒーの液体が垂れている気がしました。
「ティッシュ使う?」
親友の厚意によって差し出されたティッシュを礼も言えずに受け取ってぐしゃぐしゃの顔を拭って、更に同じ事を言おうとしたのですが
「コ……コーヒーが……目…鼻……あは、あはははははくくくくくくくくくくぁwせdrftgyふじこlp;っげほげほっ!!」
「どうしたのぉ!!?ほらほらKくん、変なお姉さんが居るよぉ(笑)」
「………ぅ…、もうダメ……あははははははは◆※☆×#%@っげほっげほ!!」何で私がいきなりぶっ壊れたのかは分からずとも、何が原因でこうなったかは分かっていたMちゃんは私の激しい咳き込みと笑いと切れ切れの言葉が途絶えて落ち着くまで見守っていてくれたので
私もやがて平静を取り戻そうと努めることができました。
その壊れっぷりは自分でもどうにかなるかと思うくらいの境地に達していました。
「…………ぁー。もぅ……どうにかなるかと思った………」
「いや、実際かなりどうにかなっていたよ、あっははははははは!!!!(爆笑)」
そう笑い飛ばして受け入れてもらえて非常に助かりました。
これが目の前に居るのが私をよく知らない人ならパニック状態、母なら病院送り、
SDCのメンバーだったら……一つの伝説となっていたかも知れません。
1歳2ヵ月の幼児の瞳には、今の大惨事はどう映っていたのやら。
それでも、今起こった出来事は、ただちょっと笑いそうになってコーヒーが気管に入っただけじゃないのか。
……と考え、止せばいいのに再びスプーンを手にコーヒーゼリーを一欠片口に運んだのでした。
「マズいよおぉ〜〜〜〜!!!!」そんな事を言うつもりはありませんでした。
でも、何か思うより先に身体の方が先に反応し、喉から絞り出すようにその言葉が出てしまったのです。
自分で言ってしまったんだからもう認めざるを得ません。
私はもう、そのゼラチンでできたらしき物をマズいと認識して身体が拒絶反応を起こしているのです。
Mちゃんは、私が自分自身の状態の事を指しているのだろうと捉えたそうですが、違います。
あんなにはっきり、しかも心底嫌そうに食べ物を「
マズい」と言い放ったのは生まれて初めてかも知れません。
それからも時折けたけたと笑い出す発作が来る私を見て
「もう零(本名)没、だね(笑)今年一年分くらいのダメージ受けたでしょ?」
と言われましたが、全く否定のできない、或いはそれ以上の破壊力でそれは私をめちゃくちゃにしてくれました。
やがて時間で帰らなきゃ、と私達は結局そのパフェを完食できずに切り上げることになったのですが、私は平静な思考を取り戻せても、まだ今回のショックからは立ち直れていない状態でした。
「
あれはこの世の物であってはならない食べ物だから無理ないよ」
というような事を言われ、慰められたのですが全く否定できませんでした。
そういう言い回しはよくするもので陳腐にすら感じますが、その時はそれ以上の言葉が見付かりませんでした。
Mちゃんと別れてから私は何とか立ち直ろうと自分の吐き出す白い息が見える寒い街頭を傘を差して歩き回り、
少しマシになったら帰ろうと思ったのですが大した回復は見られず、そのまま帰路に着いて少しでも頭を冷やそうと外を歩いて帰ろうとしましたが、ダメでした。
自分の胃の中にアレが入っていると思うだけで、胃がムカムカしてきて
できる事なら吐いてしまいたいくらいでした。
大の大人が何でたかが
チョコレートパフェ(厳密に言えばそれに含まれたゼリー)でこんな思いをしなければならないんだとか、あれはそもそも何だったのかとか、何度も自問し、
悩んだ挙げ句にこの状態で直ぐには帰宅してはいけないと判断して誰も居ない公園へ行き、電話をする事にしました。
相手の候補はやみぃずの1号か2号。
何故ならその時、私は
強烈な催眠状態に陥っているのではないかと思ったので、そちらの方面へ理解のある人物に事の一部始終を話そうとしたのです。
メールという手段もありますが、その時の私は冷静に事情を文章として構成する自信すら失っていた上、早急に現状を解決したいと強く願っていたので
その時連絡のつきそうな2号のU氏に電話をし、L4くらいの興奮状態を必死で鎮めようと努めて全てを話しました。
電話の目的は、ただ話を聞いてもらいたかっただけです。
やがて冷静になって目を覚ますことができるのは、自分でも分かっていましたので、それを少しでも早める為に話したのです。
多分、チョコレートパフェを食べた時には私は催眠状態で、その後の興奮状態はただのナチュラルハイだったのではないかと思います。
おかげさまで今、何とか元の世界に戻って来られてこうして日記も書けているのですが、
まさか
チョコレートパフェ一つで自分があんなにダメージを受けてあっちの世界に逝きかけるとは思わず、人としてちょっと自信を失いかけているところです。
その後食事は取らずにずっと休んでいて、イベントも行けるのかどうかも心配になってきているくらいです。
まだ諦める気はありませんが、及び腰になってしまったのは確かです。
これはネタになるからと理解してネタとして書いてはいますが、私自身は一片の誇張なしで本気で書いています。
何故、こんな事をいちいち詳細に書き出しているかというとですね……
ネタとして美味しい、というのはもちろんなのですが(笑)
「
助けて欲しい」という気持ちもあるのです。
もう一度、あの店へ行って誰かが私の目の前であのチョコレートパフェを食べて
「
何だ、こんなの全然食べれるじゃん。美味しいよ。」
と、笑顔で言ってくれれば、きっと私は本当の意味で立ち直れると思うのです。
ただの喫茶店の一メニューです。
人が食べられる物に違いありませんし、実際にMちゃんの旦那さんのように普通に食べられる人が居るのだって知っています。
分かっています。
別にアレを食べられなくたって生きていける事は重々承知しています。
でも、私の頭の中でだけでなくて、納得できる形で完結させてめでたしめでたしとさせたいのです。
ただのわがまま。
大きな独り言。
さすがにここまではっきり「
マズい」なんて評してしまったので、そのお店の名前はここでは明かすことはできませんが(苦笑)
私の中ではあれは「
悪魔のチョコレートパフェ」です。
あんなのを私の愛するコーヒーゼリーなんて認めない。あってはならない。
人が食べていい物じゃない。
我が身でそれを感じてしまったので、払拭できない限り、きっと永久にそのままなのです。
すごいな。
一人の人間をここまで恐怖させる食べ物が普通の王道メニューにあるなんて。
もし、今後メニューから外されたら普通にマズかった可能性が高いですけどね(笑)
屈服しました。
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