もう君は覚えていないかも知れない。
僕は君に青色のイメージがあると言われた。
僕はそれ以前から青のイメージがあると人から言われてきたし、自分でも青色を好んでいた。
でも、君はただ青色とは言わずにもっと細やかに色のイメージを表現した。
「群青色というか…夕暮れから夜になるまでの暫くの間に見られるような深く優しい色です」群青色と言われたのははじめてだった。
僕が好きな青色は少し灰色がかった中間色系の青色で、
空の色ならばうたた寝をしてしまいたくなるような淡く優しい春の空だったり、突き抜けるような深く高い秋の青空だったり、…そんな昼間の空の色だった。
だから新鮮だった反面、少し疑問だった。
黄昏(誰そ彼)は逢魔が時(大禍時)とも言う…
その頃合いによくない事が起こるという言い伝えがあったかららしい。
そんな時に見せる空の色が優しい色だと言えるんだろうか。
でも、その時の話が僕には印象に残って……
元々表現力豊かな子だったし、僕は君の誕生日に様々な色とその名前が沢山載った本をプレゼントした。
君は喜んでくれたみたいだった。
ただ、僕が何を意図してそんな本を贈ったのかは分からなかったかも知れない。
僕には世界には沢山の色が溢れている事を知って欲しかった。
君ならば僕が知ることのできない色を見出して、僕には真似できない豊かな感受性で表現し誰かに伝える事ができると思ったからそれを知って欲しかった。
土を押し出し、日ごとに伸びていく柔らかい若芽のような君がただ眩しく見えた。
でも、僕ができる事はそこまでだった。
君が僕に好意を持っていてくれている事は知っていた。
その想いに気付いていた…でも、応えることはなかった。
君が好きなのは、僕が作り出した幻影。
実像のない愛に注がれる一時の情熱は、生きた自然の色の魅力を知れば忘れてしまうもの。
箱庭にしか生きられない僕に縛られず広い世界を知って欲しかった。
そんな理由で…、僕はただ君を見守っている事しかできなかった。
そして君は、僕の予想通り…鮮やかな色溢れる世界に恋をして、いつしか僕の元を離れていった。
僕は飛び立って行った君を探したりはしない。
それでも君の事は今でも思い出す。
それなのに、君が例えていた群青色がどんな色なのか、僕にはずっと理解できずにいた。
…でも、ようやく見付けた。
それは遠い異国のカリフォルニアの黄昏時の空に因んで名付けられた石、タンザナイトの色。
透明なのに深くて包み込むような空の色。
夕暮れから濃い闇夜に誘い、そして夜明け前に再び現れ朝へと導く束の間の自然の表情。
君には僕がそんな色に見えていたのかな?
色のイメージに固定観念を抱き想像できずにいた僕に、そんな例えをした君はやっぱりすごかった。
僕は今、どんな色に見えるだろう?
そして君は今、どんな色をしているのだろう?
それがどんな虚像だとしても、君の想いは本物だった。
君は欠片を通して僕を僕よりよく見てくれていた。
……何も知らなかったのは、僕だったのかもね。
僕の中では、君は新緑の季節に燦々と太陽の光を浴びて輝き風にそよぐ緑葉だったよ。
去年のちょうど今頃に書いたと思われる何かの欠片です。
改めて読み返すと
すごく…痛いです…(*´д`*)
しかも何だか家具っぽいような設定ですw
因みにこの時はまだうみねこには手を出していません。
こんな切れ端みたいな言葉をあるところで綴っていて、
もうデータの大半は失われてしまったのですが
懐かしかったので晒してみますw
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